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日本EU学会ニューズレターNo.3

1999年7月5日

〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-4

横浜国立大学大学院

国際社会科学研究科(国際経済法学系)

庄司克宏研究室内 日本EU学会事務局

Tel &Fax :045-339-3641

E-mail :eushoji@mb.infoweb.ne.jp

European Studies Association-Japan 


目次

Ⅰ.理事長挨拶

Ⅱ.創立20周年を記念して、日本EU(EC)学会創立の思い出を名誉会員に語って頂きました

Ⅲ.在外研究からの帰国報告

Ⅳ. 研究大会報告希望アンケートの際に添付する要旨の字数について

Ⅴ.会計担当者交替のお知らせ

Ⅵ.1999年度研究大会(暫定)プログラム(本年5月29日理事会における決定)

Ⅶ・新入会員の紹介


Ⅰ.理事長挨拶-日本EU学会の皆様へ-

日本EU学会理事長  島田 悦子

今年、本学会は創立20周年を迎えました。この間、会員の皆様の絶えざる努力により学会は大きく発展してまいりました。多くの会員の真摯な研究活動の結果、豊かな研究成果が続々と発表されるようになってきたことは誠に喜ばしい限りです。先般著作アンケートを実施しましたが、その結果は本年度の学会年報に掲載いたします。

このニューズレター第3号では20周年を記念して、学会設立に関わられた先生方に玉稿執筆をご依頼申し上げ、当時の思い出を語っていただきました。

すでにお知らせしましたように、今秋には学会創立20周年記念研究大会を開催する運びになりました。5月29日に開いた理事会において、この記念大会およびその他の議題について審議いたしました。

今度の研究大会には報告のご希望が多数寄せられましたことと同時に、特別の意義のある大会でありますので、通常の大会よりも多くの方々に報告をお願いすることになりました。そのため大会初日は午前中よりプログラムを開始いたします。初日の午後には、EUからのゲストスピーカーの記念講演を企画しています。開催校の慶応大学にも現在準備にご尽力をいただいております。

この記念研究大会に対する皆様の熱心なご参加、ご協力を心よりお願い申し上げます。


2.創立20周年を記念して、日本EUEC)学会創立の思い出を名誉会員に語って頂きました

(1)「日本EU学会の前史」

内田 勝敏 (東海学園大学教授、同志社大学名誉教授 元日本EU学会理事長)

日本EU学会の設立には、それに先立つ前史があります。東京および関西でEC研究をつづけていた四つの研究会(慶應義塾大学EC研究会、関西EC研究会、同志社大学EC研究会、国際統合研究会)が母体となってつくられたEC研究者大会がそれです。第1回のEC研究者大会は1976年11月に開かれました。その後、毎年研究者大会がつづけられ、1980年11月の第5回の大会が学会設立大会となりました。

もともと、EC研究者大会が生まれるに当たっては、さきに述べた4つの研究会のあいだの緊密な連続があったことはいうまでもありませんが、駐日EC委員会代表部の後援も大きい力となっています。毎回、代表部からの特別講演が行われています。また、第1回から第4回までの研究者大会の「研究報告」は代表部の刊行費援助を得て出版されてます。

研究者大会の運営は、世話人会をつくって行われました。報告者や共通テーマを決めるのにもいろいろ苦労がありました。軌道にのりはじめると、学会をつくって運営も組織化し、財政的にも学会員の会費でまかなうようにして自立的なものにしようと意見が強まってきました。第4回大会で次回の大会を学会設立大会にしようということになったのです。

これだけの準備段階をへて、社会科学の全領域にわたるクロス・ディシプリナーな学会として創立されたわけで創立大会を想起すると、まことに感慨深いものがあります。ちなみに、EC研究者大会の共通論題は次のようなものでした。第2回は、「ECの対外関係」、第3回は、「欧州統合はどこまで進んでいるか」、第4回は、「ECと日本」です。

ついでに、日本EU学会の前前史ともいうべきものの一つにもふれておきます。それは、母体となった4つの研究会のうち、私のとくに関係している「関西EEC研究会」のことです。この研究会は、EEC成立の翌年の1959年からはじまっています。片山謙二先生(初代理事長)の肝いりで、主として関西の国際経済を研究するかたがたをメンバーとしてつくられました。当時は、欧州統合がどこまで発展するのか、世界における地位はどうなるのか、など予想もつかない時期でしたが、EECに注目し、地道な研究をつづけてきた片山謙二先生の慧眼はさすが、と思います。関西EC研究会は現在もつづけています。

紙幅の関係で、学会の前史の一端のみを述べました。学会創立20周年を迎え、研究のますますの発展を期待します。

(2)「EC学会発足の頃」

平  良  (和泉短期大学教授、慶應義塾大学名誉教授、元日本EU学会理事)

EC学会が発足する前にEC研究者大会といった時代があったことを覚えている人もすくなくなってしまったかもしれない。当時、ECの研究は各大学の中で研究グループで行われていたが、関西学院大学の片山先生が分かっている範囲で連絡して、関西学院大学、同志社大学、一橋大学、慶應義塾大学の研究グループに連絡して全国的な組織で勉強を進めようということになり、EC代表部の支援をえながら研究者大会として招集された。初回は日比谷のジャーナリスト会館で催され、懇親会についても代表部の好意でパーティーが開かれたと記憶している。続いて慶應義塾大学が会場校になり次第に参加する方も多くなってきた。機関紙らしいものとしては、代表部の支援を受けながら簡単な報告書が出されていた。その内にそろそろEC学会といった形をとることになり、

私 、平が他の学会の規約を参考にしながら学会規約をつくり、学会成立の大会を開いた。たしか午前中はEC研究者大会といった標示が学会成立とともに午後にはEC学会第一回大会に切り替わったことを記憶している方もいるだろう。片山先生を代表とし事務局は私、平と当時は若手といえる田中、庄司、小久保がいるからというので慶應義塾大学に置かれた。機関紙は専ら立命館の清水先生を煩わすことになった。EC学会のような学術的な学界は学術会議において国際法であるのか、国際政治であるのか、国際経済であるのかといった所属の上での問題が提起されて、期せずして我が国の学問分野の分類が新しい学問研究に対応していないことが分かったりした。もっとも私にとってもこうした学術的な学界に加わる機会がなければ、おそらく法律学の中の狭い分野に入り込んでしまっていることになってしまっていただろう。優れた経済学や政治学の先生方との接触を通して視野を広げることの大切なことを教えられたのである。

さらに、国際的な接触を拡大してEC学界を日本だけの存在ではなくて広く国際的なものとして行っているのは嬉しいことである。個人的にも欧州の各地に親しい友人を得られるようになったのは、此の学界のおかげであると感謝している。


Ⅲ.在外研究からの帰国報告

本年1月1日以降に在外研究より帰国された方の紹介を行います。今後も続ける予定ですので該当者の方は、原稿を事務局にご送付下さい(10月30日締切)。要領は下記にならって下さい。

(1)中村英俊(なかむらひでとし)

①現在の所属 県立長崎シーボルト大学国際情報学部国際交流学科 専任講師

②在外研究先

グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国、イングランド・オックスフォード、

オックスフォード大学大学院セントアントニーズカレッジ・国際政治学研究科博士課程

③在外研究期間 1993年9月~1999年3月

④研究テーマ (イ)国際統合の理論研究 (ロ)英国とヨーロッパ統合 (ハ)日欧政治関係

⑤成果

(イ)については、1994年5月の第2回ECSA世界大会・統合理論部会に合わせて、EUにおける民主的意思決定という観点から「主権の共有」概念の考察を試みた英文ペーパーを作成した(未発表・未公刊)。

(ロ)については、1997年5月のブレア政権誕生の主要因が、3つのユニオン(労働組合、連合王国、EU)とニュー労働党の関係改善にあると見ている。関連文献として、W・ウォーレス論文「第二次大戦後の西ヨーロッパにおける国民国家」を翻訳した(鴨武彦ほか編『リーディングス・国際政治経済システム・第4巻』有斐閣、1999年、第11章)。

(ハ)に関しては、英文の学位論文としてまとめられる予定である。この論文は、1970年代以降1991年までの間に変遷・進化してきた「日欧政治関係」について、日・EC関係だけに限定せず、G7サミットなど日米欧の政策協調をめざす制度枠組みの中で分析することを試みる。湾岸紛争を事例として、西側安全保障共同体の中での「日欧政治関係」の可能性と限界を考察するものとなろう。

(2)東野篤子(ひがしのあつこ)

①現在の所属 慶應義塾大学法学研究科政治学専攻後期博士課程

②在外勤務先:経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部

(フランス共和国・パリ、外務省専門調査員)

③在外勤務期間:1997年4月-1999年3月

④委嘱事項

(イ)「中・東欧諸国及び旧ソ連諸国の経済体制移行状況と、我が国のそれら諸国に対する政策のあり方」

(ロ)「OECDと非加盟国との関係」

⑤成果

(イ)については、OECD非加盟の中・東欧諸国(主にスロバキア、ルーマニア、ブルガリア、スロベニア、バルト三国等)及び旧ソ連諸国(主にロシア、ウクライナ、中央アジア諸国)の経済体制移行状況を分析し、OECDが開催するセミナーやワークショップに専門家の資格で参加した。主な政策領域は、民営化、金融市場整備、貿易等。

また業務を通じて、OECDに既に加盟している中・東欧諸国に関しても情報収集を行う機会があったため、現在EUに加盟を申請している中・東欧諸国の経済状況についてとりまとめ、外務省からのご許可をいただいた上で「中・東欧諸国の経済体制移行」『外交時報』(1998年3月号)に掲載させていただいた。

なお、チェコ、ポーランド、ハンガリーのOECD加盟プロセスについては論文を準備中。

(ロ)については、1997年以降の国際金融危機の被影響国に関する分析をOECDが開始したことを受けて、アジア及びラテンアメリカ諸国の経済状況の分析や、OECDとその他の国際機関が開催するシンポジウムに参加した。


Ⅳ.研究大会報告希望アンケートの際に添付する要旨の字数について

本年度は初めての試みとして、研究大会報告希望アンケートの際に要旨を添付するようお願いしましたが、本年5月29日に開催された理事会において次のように決定されました。

「次年度からも、報告者等の選定のための判断材料として、報告希望および執筆希望については1000字程度の要旨、また、報告者推薦については500字程度の要旨(推薦理由)を、アンケート回答の際に提出を義務付けることとした(エントリー要件)。ただし、共通論題によっては適切な報告者がいない場合がありうるため、その場合には例外的に、アンケート回答者以外の方に報告を依頼することもありうる。」


Ⅴ.会計担当者交替のお知らせ

福田耕治理事(早稲田大学政経学部)には、これまで、会計責任者を担当していただきましたが、今年度6月より星野郁理事に替わりました。長い間どうも有り難うございました。

福田耕治理事より以下のようなごあいさつがありました。

「4年間会計事務を担当させていただきましたが、学会事務局の移転を機に交替し、この6月から星野郁理事(渋谷区東4-10-29 國學院大学経済学部)に会計業務を引き継ぎました。小生在任中は、会計簿のデータベース化をすすめ、会費徴収の効率化と会計業務の透明化を心掛けてまいりました。幸い、会員の皆様方のご協力を得て、学協会サポートセンターへの会費徴収業務の委託も軌道に乗り、学会の財政状況も良好です。新会計担当者のもとでも、今後とも当学会に、ご支援、ご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。」


Ⅵ.1999年度研究大会(暫定)プログラム(本年529日理事会における決定) 

日本EU学会1999年度研究大会(11月6-7日、慶應義塾大学)
共通論題: 21世紀へ向かうEU
プログラム

 

 

午前の部(10時-12時)
報告者 論題 司会者
(1)60分

小室程夫

(神戸大学)

EC Banana Dispute and the GATT/WTO

(ECバナナ紛争とGATT/WTO)

 

小原喜雄

(2)60分

澤田マルガレーテ

(東京純心女子大学)

 

EU・U.S. politico-economic relations

: In need of transformation?

(EU・US政治・経済関係:アプローチ転換の必要?)

 

 

小原喜雄

 

昼食・休憩(12時-13時)/理事会(12時-13時)
総会(13時-13時30分)
午後の部(13時30分-17時45分)
報告者 論題 司会者
(1)60分

八谷まち子

(九州大学)

 

Who Implements the Integration ?

-A Structural Analysis of Comitology-

(「だれが欧州統合を実施するのか-コミトロジー考察」)

 

 

児玉昌巳

 

 

 

(2)60分

エミール・キルヒナー

 

未定

 

 

児玉昌巳

休憩(15分間)
(3)30分

Mme. Lastenouse

(COM. DGⅩ)

 

未定

 

田中俊郎

 

(4)

Guest Speaker

未定

 

未定

 

 

 

田中俊郎

 

懇親会(18時-20時)

 

 

日本語

午前の部(10時-12時)
報告者 論題 司会者
(1)60分

岩見昭三

(奈良産業大学)

 

 

ドイツブンデスバンクのユーロ戦略 -軌跡と展望-

(The Euro Politics of the Deutsche Bundesbank

:Developments and Perspectives)

 

 

 

 

田中素香

 

 

 

(2)60分

山根裕子

(立命館大学)

 

 

国家の経済活動介入と市場原理:公益サービスへのEU競争法適用をめぐって

(Market Principles and the Legitimacy of State

Intervention in Economic Activities:The Enforcement of EU Competition Law on Public Services)

 

 

 

 

須網隆夫

 

 

 

昼食・休憩(12時-13時)・理事会(12時-13時)
総会(13時-13時15分)
午後の部(13時15分-16時15分)
報告者 論題 司会者
(1)60分

植田隆子

(国際基督教大学)

 

 

欧州連合の「軍事化」と米欧関係

(The“Militalization”of the European Union and Transatlantic Relations)

 

 

 

 

辰巳浅嗣

 

 

(2)60分

東野篤子

(慶應義塾大学大学院)

 

 

EC/EUの対中・東欧政策―経緯と展望―

(‘The EC/EU’s policy towards Central and

Eastern Europe:Past,Present and Future’)

 

 

 

 

小久保康之

 

 

(3)60分

礒野喜美子

(大阪薫英女子短大)

 

 

共通農業政策(CAP)改革の現段階

(The CAP Reform

-the Agenda 2000 Agreement-)

 

 

 

 

小久保康之

 


 Ⅶ.新入会員の紹介

下記の通り本年25名の新入会員が加わり、日本EU学会の会員数は400名を超えました。

  1. 谷口  長世   ベルギー国際記者協会常任理事欧州アジア研究所正会員(顧問) 政治
  2. 小場瀬 琢磨   早稲田大学大学院法学研究科 法
  3. 田上  悦子    慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスSFC研究所 研究員 政治
  4. 中沢  靖史    ㈱さくら総合研究所 調査部 上席主任研究員   経済
  5. 原   輝史   早稲田大学商学部・教授 経済
  6. 岩本  武和    京都大学大学院経済学研究科 経済
  7. 鈴木  弘貴    東京大学人文社会系研究科・博士課程 社会学
  8. 川人  博      川人法律事務所 法
  9. 細矢  浩志      弘前大学人文学部(経済政策)・助教授 経済
  10. 吉村  祥子    広島修道大学法学部・助教授 法
  11. 越智  隆夫    甲南大学経済学部・特任教授 経済
  12. 森井  裕一    筑波大学社会科学系・講師 政治
  13. 安藤  文香    横浜国立大学大学院国際社会科学研究科(国際経済法学)修士課程 法
  14. 大河原 陽子  横浜国立大学大学院国際社会科学研究科(国際経済法学)修士課程 法
  15. 中西  優美子 一橋大学大学院博士後期課程 法
  16. 川崎  晴朗    筑波女子大学・教授 法
  17. 角田  光隆    琉球大学法文学部・助教授 法
  18. 村上  京平    広島修道大学大学院法学研究科 政治
  19. 青柳  由香    横浜国立大学大学院国際社会科学研究科(国際経済法学)修士課程 法
  20. 鈴木  邦成    文化女子大学・講師 経済
  21. 尾上  修悟    西南学院大学経済学部・教授 経済
  22. 竹林  忠夫      (財)地球産業文化研究所 企画研究部 次長 安全工学
  23. 植村  吉輝    横浜国立大学大学院国際社会科学研究科博士課程後期 法
  24. 荒島  千鶴  神戸大学大学院国際協力研究科博士後期課程 法
  25. 柑本  英雄  早稲田大学社会科学部・助手 社会学