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須網隆夫理事長(2013ー15年)

理事長メッセージ II

2014年最初のニューズレターでは、昨年度の研究大会について、まずご報告させて頂きます。2013年度の研究大会は、昨年11月9日・10日の両日、立命館大学朱雀キャンパス(京都)において、「ユーロ危機とEUの将来」を共通論題として開催されました。開催をお引き受け頂いた立命館大学、並びに実務を担当された立命館大学の理事の先生方には、この場を借りて、厚く御礼申し上げます。EUは、過去において危機を契機として発展を遂げるというプロセスをしばしば歩んできました。今回のユーロ危機も、様々な側面で、EUの抱える課題を顕在化させるとともに、その対応として、銀行同盟など、経済通貨同盟の完成に向けた対応が前進するなど、危機に対して取られた政策には、今回も、EUの更なる発展を準備する要素が看取できます。しかし、リスボン条約の下、経済統合だけでなく政治分野の統合も前進し、他方、東方拡大後、飛躍的に加盟国が増加した複雑な状況を背景にすると、過去と同様の危機をばねにした統合の発展・進化を単純に展望して良いのだろうかという疑問が生じます。今年度の研究大会は、そのような疑問に、各学問分野から一定の回答を提出するものになったように思います。一日目全体セッション第一部の久保広正前理事長の基調報告に始まり、第二部の外国人スピーカーによる報告、そして二日目午前の分科会では、新規加盟国を始めとする各加盟国の状況とともに、加盟国横断的なEU諸政 策が検討され、さらに午後の全体セッションでは、共通論題を正面から取り上げた報告が各学問分野からなされ、分科会に法律分野の報告者を欠くものの、全体として見れば、現在のEUの分析と将来のEUを展望するにあたって、貴重な成果が得られたものと確信しています。

特に、全体セッション第二部には、2012年に決定されました外国人スピーカーの招聘数増の方針に従い、2013年度も、ジャック・ぺルクマンス教授(欧州大学院大学)とヤン・ジェロンカ教授(オックスフォード大学)の2名をお招きし、さらに2011年度に引続き、シュバイスグート駐日EU大使にもご報告頂く事が出来ました。シュバイスグート大使のご報告が、EU経済の情勢が好転し、危機の克服が現実的に展望される中で、これまでのユーロ危機への対応を総括した上で、高い失業率など、未解決の課題を指摘すると言う前向きなものであったのに対し、両招聘者の報告はより慎重であり、特にジェロンカ教授は、加盟国の国内政治における反EU派の伸長を指摘し、EUを支える結束が危機に瀕していると指摘されていました。EU内部において、EUに対する認識に差異があるのは当然でありますが、そのようなヨーロッパの多様な認識を、日本EU学会として共有するために、外国人スピーカーの招聘には大きな意義があると思います。今年度研究大会の共通論題は、「EUの連帯」と決定されましたが、外国人スピーカーの議論が、研究大会参加者の問題意識を刺激した結果ではないかとも思います。招聘者の選定には、毎年苦労するのですが、研究大会の充実のために、これからも国外における指導的なEU研究者の招聘を実現していく必要があるでしょう。

第二にご報告すべきことは、研究大会の準備方法の変更です。前号のニューズレターで、企画委員会でのより充実した議論に基づいた研究大会の組織の方向性について言及させて頂きましたが、昨年11月の理事会での議論を経た結果、今年度は、研究大会の企画準備のスケジュールが、昨年度までと異なることになります。すなわち、企画委員会での検討・審議に十分な時間を確保するために、報告申し込みの締め切り時期が、例年より若干早まることになります。すなわち、2月15日より3月15日が、報告希望の受付期間となり、その後、4月19日に予定されている理事会までの約5週間の間に、企画委員会を開催して、大会プログラムを策定して頂きます。希望される多くの会員の方にご報告頂き、学会活動に貢献して頂くとともに、共通論題を掘り下げるのに最も適した形態に全体会・分科会を組織し、適切な報告者を選定するために、企画委員会には、ご努力頂くことになります。なお、企画委員会の委員長には、福田耕治理事にご就任頂きました。

第三に、本年4月より、理事会内部の職務分担の変更がございます。まず、2014年3月末をもって、岩田健治事務局長が任期満了により退任され、小久保康之理事が新事務局長に就任されます。岩田事務局長の学会への多大の貢献に御礼申し上げるとともに、小久保新事務局長のご活躍に期待いたします。同じく3月末をもって、安江則子編集委員会委員長も退任され、高屋定美理事が新委員長に就任されます。編集委員長も気苦労の多い仕事です。安江理事には誠にご苦労様でした。

第四に、維持会員の入会がありました。庄司克宏理事のご尽力により、ソフトバンクモバイル株式会社より、維持会員としての入会を申請頂き、承認されましたことをご報告申し上げます。

最後に、今年度の研究大会は、11月8日・9日の両日、立正大学(大崎キャンパス)で開催されます。開催校をお引き受け頂きました蓮見雄理事に感謝申し上げるととともに、多くの会員の皆様とお目にかかれますことを楽しみにしております。

(2014年2月27日掲載)


理事長メッセージ I

本年2月の理事会におきまして、法律分野からの理事長として選出され、4月より、久保前理事長より職務を引き継ぎましたことを、EU学会員の皆様にご報告させて頂くとともに、ご挨拶させて頂きます。EU学会に入会して、早20年以上が経過し、理事に初めて選任されてからも10年以上になります。この間、編集委員会委員として、学会年報の編集には関与しましたが、学会全体の運営には不案内な未熟者ですが、岩田事務局長のお力添えにより、また久保理事長を始めとする、理事長経験者の諸先生方にご指導頂きながら、仕事をさせて頂いているところです。

さて、これまでの理事長・事務局長を始めとする、理事会の先生方の御苦労により、学会運営のシステムは、ほぼ確立しており、学会の運営に困難はありませんが、4月以降の短い経験からではありますが、部分的に修正した方が良い部分もあるように思います。

その第一は、事務局長の過重負担です。理事としても感じなかったわけではありませんが、本学会の運営は、事務局長の献身的とも言える努力の上に成立していることを痛感いたしました。現事務局長である岩田先生はもとより、先代の鷲江先生、先々代の庄司先生には、心より感謝申し上げますが、他方、その負担の程度は限界に近付き、事務局長の今後の人材確保にもいささか懸念を感じております。そのため、事務局長の業務負担の軽減を考え、特に研究大会のプログラム作成は、なるべく事務局長の職務から切り離して、企画委員会に任せるべきかと思っております。

このことは、第二の課題である、研究大会の充実にも資すると思います。学会活動の中核は、毎年秋に開催される研究大会であり、学会年報も研究大会の報告を基に編集されていることはご存じの通りです。そして、研究大会の報告は、毎年秋に開催される研究大会であり、学会年報も研究大会の報告を基に編集されていることはご存じの通りです。そして、研究大会の報告は、秋の理事会で決定される共通論題について出された報告希望を中心に、事務局長のイニシアチブの下、企画委員会での議論を経て、翌年春の理事会で決定しております。

しかし、報告希望締切日と理事会日程が接近していること、事務局長が理事会準備とプログラム作成の双方を同時期に担当せざるを得ないこと等のために、いささか窮屈になっております。そこで、報告希望締切日と理事会日程を少し手直しするとともに、企画委員会には、共通論題決定後の適当な時期に集まって頂き、企画内容を議論して頂くなど、これまでよりも時間をかけて企画を作成し、充実した、より多くの参加者を吸引できる研究大会を常に開催できることを目指すべきかと思います。

そして第三は、学会規定の整備です。学会は、研究者同士の信頼関係に基づいて運営される任意団体であり、本来、細かな規定は不要であるはずです。しかし、時代の流れもあり、他の学会の動向を見ても、幾つかの問題について、それを処理する規定を設けることが、最近の趨勢のように思います。最終的な結論は別として、必要性の有無について、理事会でも検討すべき時期かと思います。

EU学会は、政治・経済・社会・法律という異なる学問分野の研究者によって構成される学際的学会です。分野が異なれば、常識も、使用言語も異なるのが実状であり、同じ言葉を使っていても、それぞれが異なる内容を考えている場合も少なくありません。しかし、EUを中核とする欧州統合が、一分野にのみ関係する分野限定的な現象ではなく、ヨーロッパ社会の基本構造に影響を及ぼしている総合的な現象である以上、その検討は、学際的に行われなければならないはずです。これまでの、EU学会が達成してきた学際的研究の成果に則り、それをさらに発展させるべく、会員の皆様方の一層のご協力をお願いする次第です。

(2013年8月29日掲載)