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須網隆夫理事長(2013ー15年)

メッセージ4

今年度のメッセージも、昨年同様、昨年11月に開催された研究大会の報告から始めさせて 頂きます。昨年度の研究大会は、11月8日・9日の両日、立正大学品川キャンパス(東京) において、「EUの連帯」を共通論題として開 催されました。蓮見理事には、全体セッション の報告者を兼ねながら、開催校理事として開催準備にご尽力頂き、誠にご苦労様でした。今回大会は、ユーロ危機後、ともすれば加盟国間に 対立が見られ、また市民レベルでも失業率の増大など、市民社会の亀裂が目立ち、しかもそこからの脱却の道筋がなかなか見えてこないEUの現状に、「EUの連帯」という角度からアプローチしたものです。特に、2日目の午後は、ウクライナ危機をテーマにEUの連帯を取り上 げ、各分野からの報告を受けて活発な議論が展開されました。例年、2日目午後のセッション は、参加者が減ってしまうのですが、今回は、最後まで多くの参加者があったことが、セッションの成功を示していたように思います。

二つほど付言させて頂きますと、第一に、1日目の全体セッション第二部には、ジョルジュ・モナール教授(欧州大学院大学)を、EU学会としてお招き致しました。ここ数年の研究大会では、EU代表部として1名と学会自体として1名、合わせて2名の報告者を海外より招請してきましたが、EU代表部より、予算緊縮のため2014年度の招請はできないとの連絡があり、海外からの招請者は学会枠の1名のみとなりました。しかし、ヨーロッパを始め国外の研究成果を、日本EU学会として共有するために、外国人報告者に大きな意義があることは当然であります。そこで、学会として招請する研究者に、研究大会時に訪日が予定されている 外国研究者又は日本在住の外国研究者を加えてセッションを構成することを検討し、大分大学のStephan Day先生にご報告をお願いした次第 です。今後もEU代表部による招請の復活は難 しいと思われますので、いろいろ工夫しながら運営していくべきかと思います。 第二に、昨年1月のニュースレターでも報告させて頂いたように、本大会のプログラムは、企画(プログラム)委員会の活発な議論を経て決定したものです。従来のプログラムは、会員からの報告希望を基に、執行部が準備した案を理事会で決定していましたが、多くの議題を抱える理事会では、ともすれば十分な議論の時間が取れないことを考慮し、企画委員会での討議を経て、より充実したプログラム案を作成することを狙ったものです。

今回のプログラムで、どこまでその目的が達 成されたかは、会員のみなさまのご判断に任せるとして、2015年度大会の企画についても、既に企画委員会(久保広正委員長、中村民雄副委員長)の議論が始まっており、当面、企画委員会主導のプログラム作成・運営を実施することが適当と思い、学会予算にも企画委員会の開催費用を計上し、企画委員会内規にも必要な修正を行いました。プログラムの前提となる共通論題も、これまで、理事からの提案を参考にして理事会で決定しておりましたが、EUの活動がより広範・複雑化するにつれて、以前より、共通論題の設定が難しくなっているように感じます。2015年度について、理事アンケートで1件しか提案がなく、研究大会時の理事会での決定を見送ったことも、それを示唆しているのではないでしょうか。そのため今後は、会員 アンケートにより広く提案を募集した上で、理事会に先立って、企画委員会が一定の検討をするなどの変更が考えられます。なお企画委員会は、現在は、理事のみで構成しておりますが、 その形式はともかく、理事以外の会員の方にも、 企画委員会の議論に加わって頂くことも検討課題であると思います。学会の発展・活性化の中心は、研究大会の企画・運営にあります。時代 又状況の変化に対応しながら、日本におけるEU研究を発展させ、また社会に多くの発信をしていけるような、充実したプログラムが決定できるよう、常に創意工夫していく必要があるでしょう。

その他、ご報告すべき事項が、理事会関連で 幾つかございます。研究大会時に開催された理事会又は総会では、以下の事項が決定されまし た。第一に、田中素香・正井正筰両理事の定年による退任に伴い、児玉昌己会員と臼井陽一郎会員に、本年4月より理事にご就任頂きます。 田中・正井両理事には、長年の学会への御貢献に御礼申し上げます。第二は、理事会選挙制度について、研究大会当日投票の廃止を決定し、必要な学会規約・規定の改正が行われました。 これにより、理事選挙直後の新理事長選出のための理事会開催時期も変更になります。第三に、理事会内部の職務分担の新設がございます。本学会は、アジア太平洋EU学会、ECSA-WORLD 等の国際学会と連携しており、今後それらの連携は益々重要となることから、理事会内部に新たに対外関係担当理事の職務を置くことを決定 し、後日、田中俊郎理事と羽場久美子理事に、 対外関係担当にご就任頂きました。なお、国際学会との関係では、国際学会に参加する若手会員への補助金制度の設立を決定しました。若手研究者の学会加入のインセンティブとなることも期待され、可能な限り、今年度のアジア太平洋EU学会の研究大会(ソウル、6月11~12日開催予定)から、対外関係担当理事の下で、 制度を実施したいと思っております。

2015年度の研究大会は、11月21日・22日の両日、関西大学で開催されます。開催校をお引き受け頂きました高屋理事に感謝申し上げます。研究大会の際には、11月8・9日という開催予定を案内させて頂きましたが、本学会の多くの会員の参加が想定される経済関係の学会との日程重複が判明したために、上記期日に変更させて頂きました。ご容赦頂ければ幸いです。

最後に、2013年4月より、理事長の職を 務めさせて頂きましたが、本年3月末を持って2年間の任期を満了させて頂くことをご報告させて頂きます。理事の皆様始め、会員の皆様には、学会運営へのご協力まことにありがとうご ざいました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。私事ながら、2012年夏に長期の入院をした直後でしたので、健康に不安があったのですが、案の定、昨年10月、また入院 せざるを得ない羽目となり、研究大会直前の多忙の時期に、皆様、特に小久保事務局長には多大のご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し 上げます。

201534日)


メッセージ3

前回のニュースレター以後も、EUをめぐる 話題には事欠きません。むしろ騒がしいと言っても良いでしょう。対内的には、去る5月下旬 に、欧州議会の選挙があり、EU懐疑派の諸勢力の伸長が報じられました。6~7月には、欧州委員会の新委員長の選出がホットな話題とな り、欧州理事会での投票を経て、ルクセンブル ク元首相のユンケルが、ほぼ予想通りに新委員 長に選出されました。対外関係では、ウクライナ危機が継続しています。3月のクリミアのロシア編入後、ウクライナ東部での親露派武装勢力とウクライナ政府軍との武力衝突が続く中、7月には、マレーシア航空機がウクライナ東部上空で撃墜され、親露派の関与の可能性が指摘されています。ユーロ危機からの脱却も、なお道半ばである今日、対内的・対外的に困難な課題を抱え、EUの今後に影響する要素は益々複雑化していると言うべきでしょうか。そのような中で、日本にとって重要なEUとのFTA交渉も進みつつあります。11月の研究大会では、EUの現在、そして今後を、皆様と様々な角度から議論させて頂きたいと存じます。

さて今回は、5月にオーストラリア・メルボルンで開催された「アジア・太平洋EU学会」の2014年度・研究大会(統一テーマ「アジアの陰の下にあるEU―変化しつつあるEU・ アジア関係」)について報告させて頂きます。

研究大会は、5月1日と2日の両日、メルボ ルン市内中心部に近い、メルボルン工科大学で開催された。プログラムの概要を紹介すると、 第1日目の午前は、第1セッション「EUとアジ ア:政策とパワー」(3分科会)、第2セッション「政治的経済的相互作用、政策、開発、安全保障(I)」(3分科会)、第3セッション 「同(II)」(2分科会)、昼食を挟んで、 午後は、全体会での基調講演1「EUのアジアへの関与:三層構造と取り組む」(Philomena Murray教授)、第4セッション「ユーロ圏危機 とEU加盟国であること」(2分科会)、第5セッション「自己及び他者の認識、ディアスボラ、移住と文化」(2分科会)であった。第2日目午前は、全体会での基調講演2「ヨーロッパとアジア太平洋関係の再均衡」(Bruce Wilson 教授)に続き、第6セッション「EUとアジア: 中心点と権力均衡」(2分科会)、第7セッション「ASEANとEUの政治的経済的相互作 用」(2分科会)、昼食を挟んで、午後は第8セッション「EUとアジア:地域主義、挑戦と関係」(2分科会)、そして全体会でラウンド テーブルとして「EUとアジア、誰が誰の陰になっているのか」が行われ、最後の挨拶により閉会となった。参加者は、開催地オーストラリアを始め、ニュージーランド・インドネシア・ 香港・韓国・シンガポール等のアジア・太平洋地域に加え、ヨーロッパ諸国からの参加者も含めて約100名であり、各分科会の報告数は50以上に達していた。各報告は、質疑を含めて20分程度であり、いささか時間は不足気味であった。

この会議に出席するのは初めてであったが、 法律分野の報告者はほとんどいないものの、会議全体としては大変に興味深いものであった。 並行して複数の分科会が開催されたため、主に、EU・アジア関係を対象とする分科会に出席したが、多くの報告は、アジアにとってのEU、 EUにとってのアジアを客観的に分析にした上で、様々な視点から、EU・アジア関係を論じ ていた。私の理解した限り、報告・議論の基調は、概ね以下のようなものであった。第一に、ユーロ危機が、通商・金融・資本移動面での影響を通じて、アジア経済に大きな影響を与えたことが示すように、経済関係は、EUとアジア関係の中軸である。EUはASEANへの最大の投資家であり、価値生産過程がグローバルに組織される中で、EUとアジアの経済的相互依存が進んでおり、EUは、アジアでも通商・開発のアクターであると広く認識されている。第 二に、これに対して安全保障面では、EUの貢献は大きくなく、EUはこの分野ではアクターとして認識されていない。しかし、経済関係を除いて、アジアに政治的利害がないと見られる ことはEUの利点でもある。EUは、実際には、 安定したアジアの秩序に利害関係を有しており、 アジア・太平洋の政治的緊張に無関心ではない。 そして気候変動の結果生じるような、非伝統的な安全保障上の脅威には、危機管理の面で、協力できる可能性がある。第三に、このようなEUの対アジア政策の遂行に際しては、EUのソフトパワー(規範的・非軍事的パワー)が重視され、EUは、外交政策、開発援助政策、安全保障政策を包括的に推進するアプローチを採用すべきである。EUの対アジア政策には、EU機関間の調整の不足・政策分野間の一貫性の欠如など、様々な欠点も指摘されるが、多くの報告は、EUの限界を認識しながらも、アジアの平和・安全に、EUの貢献可能性は模索に値すると認識していた。

これらの議論からは、各国の研究者が、アジア・太平洋地域におけるEU研究者として、EUの行動に期待するとともに、この地域の抱える問題解決のための示唆をEUから得ようとする姿勢が共通している。EUを通じた国家間の和解が、アジアにとって、直ちに採用できるモデルではないが、地域内の信頼醸成・通貨協力など、EUが部分的に参考となる場面は少なくない。考えてみれば、このような観点からEUを議論することは、アジア・太平洋学会の独壇場であり、そこにこの地域学会の存在意義があ るのであろう。これまで、同学会との連絡は、 理事長が担当する慣例であるが、理事長の任期 が2年であることを考慮すると、理事会内に同学会の担当者を置き、もう少し長い期間での関 係構築を展望すべきであるようにも思う。 なお、アジア・太平洋EU学会を構成する各 国のEU学会の理事長会合が2日目の朝食時に 行われた。本学会に関係する最大のテーマは、 研究大会の日本における開催である。既に4月の理事会でも報告したが、2017年度の研究大会の開催を、日本で引き受けるように要請さ れた。要請への対応の是非が、今後議論する必 要がある。日本では、既に慶応大学で一度大会を開催しているが、日本EU学会が、アジア・ 太平洋EU学会に参加している以上、時期は別 として、また義務を果たさなければならないであろう。

2014820日)


メッセージ2

2014年最初のニューズレターでは、昨年度の研究大会について、まずご報告させて頂きます。2013年度の研究大会は、昨年11月9日・10日の両日、立命館大学朱雀キャンパス(京都)において、「ユーロ危機とEUの将来」を共通論題として開催されました。開催をお引き受け頂いた立命館大学、並びに実務を担当された立命館大学の理事の先生方には、この場を借りて、厚く御礼申し上げます。EUは、過去において危機を契機として発展を遂げるというプロセスをしばしば歩んできました。今回のユーロ危機も、様々な側面で、EUの抱える課題を顕在化させるとともに、その対応として、銀行同盟など、経済通貨同盟の完成に向けた対応が前進するなど、危機に対して取られた政策には、今回も、EUの更なる発展を準備する要素が看取できます。しかし、リスボン条約の下、経済統合だけでなく政治分野の統合も前進し、他方、東方拡大後、飛躍的に加盟国が増加した複雑な状況を背景にすると、過去と同様の危機をばねにした統合の発展・進化を単純に展望して良いのだろうかという疑問が生じます。今年度の研究大会は、そのような疑問に、各学問分野から一定の回答を提出するものになったように思います。一日目全体セッション第一部の久保広正前理事長の基調報告に始まり、第二部の外国人スピーカーによる報告、そして二日目午前の分科会では、新規加盟国を始めとする各加盟国の状況とともに、加盟国横断的なEU諸政 策が検討され、さらに午後の全体セッションでは、共通論題を正面から取り上げた報告が各学問分野からなされ、分科会に法律分野の報告者を欠くものの、全体として見れば、現在のEUの分析と将来のEUを展望するにあたって、貴重な成果が得られたものと確信しています。

特に、全体セッション第二部には、2012年に決定されました外国人スピーカーの招聘数増の方針に従い、2013年度も、ジャック・ぺルクマンス教授(欧州大学院大学)とヤン・ジェロンカ教授(オックスフォード大学)の2名をお招きし、さらに2011年度に引続き、シュバイスグート駐日EU大使にもご報告頂く事が出来ました。シュバイスグート大使のご報告が、EU経済の情勢が好転し、危機の克服が現実的に展望される中で、これまでのユーロ危機への対応を総括した上で、高い失業率など、未解決の課題を指摘すると言う前向きなものであったのに対し、両招聘者の報告はより慎重であり、特にジェロンカ教授は、加盟国の国内政治における反EU派の伸長を指摘し、EUを支える結束が危機に瀕していると指摘されていました。EU内部において、EUに対する認識に差異があるのは当然でありますが、そのようなヨーロッパの多様な認識を、日本EU学会として共有するために、外国人スピーカーの招聘には大きな意義があると思います。今年度研究大会の共通論題は、「EUの連帯」と決定されましたが、外国人スピーカーの議論が、研究大会参加者の問題意識を刺激した結果ではないかとも思います。招聘者の選定には、毎年苦労するのですが、研究大会の充実のために、これからも国外における指導的なEU研究者の招聘を実現していく必要があるでしょう。

第二にご報告すべきことは、研究大会の準備方法の変更です。前号のニューズレターで、企画委員会でのより充実した議論に基づいた研究大会の組織の方向性について言及させて頂きましたが、昨年11月の理事会での議論を経た結果、今年度は、研究大会の企画準備のスケジュールが、昨年度までと異なることになります。すなわち、企画委員会での検討・審議に十分な時間を確保するために、報告申し込みの締め切り時期が、例年より若干早まることになります。すなわち、2月15日より3月15日が、報告希望の受付期間となり、その後、4月19日に予定されている理事会までの約5週間の間に、企画委員会を開催して、大会プログラムを策定して頂きます。希望される多くの会員の方にご報告頂き、学会活動に貢献して頂くとともに、共通論題を掘り下げるのに最も適した形態に全体会・分科会を組織し、適切な報告者を選定するために、企画委員会には、ご努力頂くことになります。なお、企画委員会の委員長には、福田耕治理事にご就任頂きました。

第三に、本年4月より、理事会内部の職務分担の変更がございます。まず、2014年3月末をもって、岩田健治事務局長が任期満了により退任され、小久保康之理事が新事務局長に就任されます。岩田事務局長の学会への多大の貢献に御礼申し上げるとともに、小久保新事務局長のご活躍に期待いたします。同じく3月末をもって、安江則子編集委員会委員長も退任され、高屋定美理事が新委員長に就任されます。編集委員長も気苦労の多い仕事です。安江理事には誠にご苦労様でした。

第四に、維持会員の入会がありました。庄司克宏理事のご尽力により、ソフトバンクモバイル株式会社より、維持会員としての入会を申請頂き、承認されましたことをご報告申し上げます。

最後に、今年度の研究大会は、11月8日・9日の両日、立正大学(大崎キャンパス)で開催されます。開催校をお引き受け頂きました蓮見雄理事に感謝申し上げるととともに、多くの会員の皆様とお目にかかれますことを楽しみにしております。

(2014年2月27日掲載)


メッセージ 1

本年2月の理事会におきまして、法律分野からの理事長として選出され、4月より、久保前理事長より職務を引き継ぎましたことを、EU学会員の皆様にご報告させて頂くとともに、ご挨拶させて頂きます。EU学会に入会して、早20年以上が経過し、理事に初めて選任されてからも10年以上になります。この間、編集委員会委員として、学会年報の編集には関与しましたが、学会全体の運営には不案内な未熟者ですが、岩田事務局長のお力添えにより、また久保理事長を始めとする、理事長経験者の諸先生方にご指導頂きながら、仕事をさせて頂いているところです。

さて、これまでの理事長・事務局長を始めとする、理事会の先生方の御苦労により、学会運営のシステムは、ほぼ確立しており、学会の運営に困難はありませんが、4月以降の短い経験からではありますが、部分的に修正した方が良い部分もあるように思います。

その第一は、事務局長の過重負担です。理事としても感じなかったわけではありませんが、本学会の運営は、事務局長の献身的とも言える努力の上に成立していることを痛感いたしました。現事務局長である岩田先生はもとより、先代の鷲江先生、先々代の庄司先生には、心より感謝申し上げますが、他方、その負担の程度は限界に近付き、事務局長の今後の人材確保にもいささか懸念を感じております。そのため、事務局長の業務負担の軽減を考え、特に研究大会のプログラム作成は、なるべく事務局長の職務から切り離して、企画委員会に任せるべきかと思っております。

このことは、第二の課題である、研究大会の充実にも資すると思います。学会活動の中核は、毎年秋に開催される研究大会であり、学会年報も研究大会の報告を基に編集されていることはご存じの通りです。そして、研究大会の報告は、毎年秋に開催される研究大会であり、学会年報も研究大会の報告を基に編集されていることはご存じの通りです。そして、研究大会の報告は、秋の理事会で決定される共通論題について出された報告希望を中心に、事務局長のイニシアチブの下、企画委員会での議論を経て、翌年春の理事会で決定しております。

しかし、報告希望締切日と理事会日程が接近していること、事務局長が理事会準備とプログラム作成の双方を同時期に担当せざるを得ないこと等のために、いささか窮屈になっております。そこで、報告希望締切日と理事会日程を少し手直しするとともに、企画委員会には、共通論題決定後の適当な時期に集まって頂き、企画内容を議論して頂くなど、これまでよりも時間をかけて企画を作成し、充実した、より多くの参加者を吸引できる研究大会を常に開催できることを目指すべきかと思います。

そして第三は、学会規定の整備です。学会は、研究者同士の信頼関係に基づいて運営される任意団体であり、本来、細かな規定は不要であるはずです。しかし、時代の流れもあり、他の学会の動向を見ても、幾つかの問題について、それを処理する規定を設けることが、最近の趨勢のように思います。最終的な結論は別として、必要性の有無について、理事会でも検討すべき時期かと思います。

EU学会は、政治・経済・社会・法律という異なる学問分野の研究者によって構成される学際的学会です。分野が異なれば、常識も、使用言語も異なるのが実状であり、同じ言葉を使っていても、それぞれが異なる内容を考えている場合も少なくありません。しかし、EUを中核とする欧州統合が、一分野にのみ関係する分野限定的な現象ではなく、ヨーロッパ社会の基本構造に影響を及ぼしている総合的な現象である以上、その検討は、学際的に行われなければならないはずです。これまでの、EU学会が達成してきた学際的研究の成果に則り、それをさらに発展させるべく、会員の皆様方の一層のご協力をお願いする次第です。

(2013年8月29日掲載)