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理事長メッセージ: 森井裕一

オンライン 2 年目とその後へ向けて森井理事長

日本 EU 学会としては二度目となるオンライン大会が 2021 年 11 月 7・8 日に開催されました。初夏のころまでは一部対面・ハイフレックスの可能性もありうるかと検討を続けていましたが、状況は悪化し、二年連続でのオンライン大会となりました。共通論題 「コロナ以後の EU 再生戦略─グリーンディールの射程」はEUのグリーンディールを多面的に扱い、オンラインの利点を生かして日欧を結んでの活発な議論ができたと思います。二日目の公開シンポジウム「ポストBrexitのEU世界戦略」も非常に多くの方に視聴・参加いただき、大盛況に終わりました。分科会に登壇した皆様もオンラインでのプレゼンテーション、質疑応答に見事に対応しておられ、コロナ禍でもデジタル化により優れた研究交流は可能ということを示されたと思います。オンライン大会の成功にご尽力された皆様に、厚くお礼申し上げます。

しかしそれでも、ポスターセッション、懇親会 や休憩時間の交流や対話ができなかったことは、やはりとても残念です。既に企画委員会を中心に2022年11 月 5・6 日に東京経済大学におい て対面で研究大会を開催する準備が進められております。新変異株の感染拡大など不安な要素 はありますが、久しぶりに対面の研究大会の開催が可能になり、会員間のより緊密な交流が再び可能になることを期待したいと思います。

この間、オンライン大会となったことから海外からのゲストスピーカーを日本にお招きする ことができませんでした。また若手会員の海外学会等への派遣助成もほとんど実施出来ており ません。そのため使われなかった予算を利用して、2022年度より大学院生会員の会費を値下げすることを、昨年11月の理事会で決定いたしました。これにより、大学院生会員の会費はこれまでの年間5000円から3000円へと値下げされます。日本EU学会では地域部会の導入やポスターセッションの実施、学会奨励賞の授与など若手会員の活動をさらに活性化する方策を導入してきました。今回会費引き下げにより、厳しい状 況に置かれている学生会員の負担を僅かでも軽 減することによって、より多くの大学院生にも日本EU学会の活動に興味をもっていただければありがたく存じます。EU 復興基金「次世代 EU」は、コロナ禍で苦しい状況の救済であると同時に、将来への投資によって持続的な成長を可能 にすることを目指していますが、学会も将来世代への支援を引き続き検討していければと思い ます。

2022年度の共通論題は「EUの将来像と市民社会」、二日目の公開セッションのテーマは「EUとジェンダー」です。どちらもこれまで日本EU学会が共通論題では中心的に取りあげてこなかったテーマとなります。欧州委員会が将来をEU市民に構想・議論してもらう場として「欧州将来会議」を立ち上げていることが直接の背景となりますが、EUという制度の基盤となっている欧州の市民社会と構成国の政治のあり方、EUとの関係がより複雑になり、またそのことがEUをめぐる議論に大きな影響を与えるようになっていることから、市民社会とEUの関係を深く検討する重要性は高まっていると言えるでしょう。 ジェンダーはEUの政策権限という点では限られたものかもしれませんが、多様性の尊重とジェンダー平等が多くの構成国で非常に重要なイシューとなり、EUと構成国の人事においても配慮が随所に見られるようになっている一方で、いくつかの構成国ではEUの価値と衝突する政治状況が見られるようになっています。EU研究もこのような新しい研究課題にさらに積極的に取り組んでいくことが不可欠であると思います。もちろん分科会ではこれまで通り、会員の皆様の報告希望を受け付けております。積極的なご応募をお願い申し上げます。

(2022 年 1 月 10 日)


コロナ禍で原点を再確認する

2021年4月より理事長を拝命いたしました。EU諸国でも日本でも新型コロナウィルス感染症の問題が大きな影響を持ち続けている中で、学会の運営に関わることは大きなチャレンジとなりますが、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。既に中村前理事長体制の下で、コロナ禍における研究大会・理事会のオンライン開催も実現されましたが、2021年研究大会も感染状況が改善しないためオンライン開催となります。このような環境下ですが、学会活動はどのようにあるべきか、ここで再確認しておきたいと思います。

学会規約第3条の規定をするまでも無く、学会の目的は「研究の促進およびその研究者の相互の協力の推進」です。法・経・政治社会という分野から構成される日本EU学会ですので、会員の間の学際的な研究の促進を一層促進することが最も重要です。2018年度より地域部会が活動を開始し、特に若手会員を中心として研究交流が活性化されたことは大きな成果であり、今後とも研究大会と連動させながら、活力ある研究を推進できる環境作りをしたいと思います。コロナ禍故に地域ごとの部会活動となっていませんが、そのかわりにオンラインでどこからでも参加できる部会活動となっております。当初の企画とは異なりますが、オンライン化は研究交流を促進するためのハードルを下げるという点では非常に貢献しているのではないかと思います。

研究で成果をあげることは、とにかく多くの発表を行い、論文を公刊するというイメージを持つ方も多いですが、同時に質をたゆまなく向上さることも不可欠です。オリジナリティーの低い使い回しの発表、ましてや剽窃など言語道断です。学際性は専門性の低下の言い訳とはなり得ません。ディシプリンの先行研究をしっかり踏まえ、方法論的にも実証的にも、それぞれの分野で最先端の研究を発表して、議論・交流することにこそ、学会の存在意義があります。そのためには学問的に厳格で公正な査読、発表に対する建設的なコメントが不可欠ですので、会員の皆様のご協力をお願いいたします。

私たちの研究対象であるEUは、コロナ禍で合意された巨額の復興基金の交付が始まったことや、一部の構成国のEUの基本的価値に反する行動への対処問題に象徴されるように、大きな変化のさなかにあります。私の主な研究対象はEU構成国であるドイツ政治とEUの政治の相互作用ですが、2005年以来首相の座にあり、欧州理事会の安定の軸でもあったメルケル首相も、9月末の連邦議会選挙をもって退陣予定です。他の多くの構成国でも政治のありかたが変わり、さらにグリーン化の進展、EUをとりまく国際環境の変化など、EU研究をめぐる新しい素材は尽きません。

研究課題をどう設定し、取り組むかはディシプリンによって異なりますが、オリジナリティーの高い堅実な研究を活発に行う会員の皆様が楽しく集える学会とするために、理事の皆様とも協力して運営に努めて参りたいと思います。ご協力のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。

(2021年7月29日)



過去の理事長メッセージ

中村民雄理事長(2019年4月〜2021年3月)

岩田健治理事長(2017年4月〜2019年3月)

福田耕治理事長(2015年4月〜2017年3月)

須網隆夫理事長(2013年4月~2015年3月)

久保広正理事長(2011年4月~2013年3月)

辰巳浅嗣理事長(2009年4月~2011年3月)

庄司克宏理事長(2006年11月~2009年3月)