『日本EU学会年報』第43号を対象とした選考の結果、EU研究奨励賞が川瀬朗氏に授与されることとなりました。本年度愛知大学にて開催されます研究大会の際に、懇親会もしくは総会にて、授賞式を執り行います。
川瀬朗氏
EUのFTA農業分野交渉における欧州委員会の役割:CETAをめぐる政治過程を事例に
受賞理由:
受賞論文は、EUとカナダとの間で締結されたCETAを分析することにより、EUの自由貿易交渉における欧州委員会の役割を明らかにしたものである。特に、EUが競争力のある相手と自由貿易協定を結ぶ際のスタイル、またそのダイナミズムが可視化されている。本論文は、従来の理論枠組を精査し、その限界を指摘したうえで、独自の理論枠組みを設定し、政治過程と照らして合わせて検討した、実証的な論文となっている。特に、事例によって検証するという手法が野心的であり、評価できる。もっとも、分析方法を深化させたり、フローチャートのように論理を明確にしたりするとより説得力が出るのではないかと考えられ、今後のより一層の研鑽を期待したい。